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2001年3月期 読書記録
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瞬きよりも速く
(3/27 読了)
レイ・ブラッドベリ 訳:伊藤典夫、他 早川書房
1996年発表、日本では1999年に発行されたブラッドベリの復帰第一作目の短編集。もうたしか80歳近い人のような気がしますが生涯現役という言葉がピタリとくる幻想的で素敵な作品が揃っていました。
全21作品もあるのでもちろん中にはしっくりこない作品もありましたがやはりドキドキさせられます。昔の短編のほうがインパクトがあるようにも思える...、とはいえ、本を開くとまるで不思議な夢を見ているような気分になれる不思議な魅力は衰えていないようです。
特に気に入った作品は、大人になるまで遠ざかっていた故郷の図書館で司書の女性と本や思い出について語り合う「交歓」。
他にも幻想、怪奇、そして切なく美しい作品が収録されています。
好き好き度 ★★★☆
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我らが影の声
(3/23 読了)
ジョナサン・キャロル 訳:浅羽莢子 創元推理文庫F
兄は15歳のとき鉄道事故で亡くなった。いや、ほんとは事故では...。
兄の死を引きずりながらもウィーンで順調に作家生活を送るジョゼフ・レノックス。ウィーンでは映画好きのテイト夫妻という素晴らしい親友もでき満ち足りた毎日を送っていた。そう、まさに幸せな日々だった...。
ホラー+ファンタジー+普通の小説...なんて書いただけではこの人の作品は言い表せない気がします。J.キャロルの長編を読んだのはこれで4冊目ですが、この「我らが影の声」を読んで他を全部読みたくなりました。
「今回はちょっと恐そうだぞ!」と思いながら読み、後半は「あ〜、こんな感じで終わりなのね〜」なんて思ってたんだけど...
恐いっていっても、視覚的に恐いとか、恐い場面がどうのとかじゃないんです。
精神的に「ザワッ!」とくる感じ...!
なによりも読み終えたあともずっと残る戦慄がたまりません!
って、どんな内容かよくわかんないと思いますが、これ以上書くとネタバレしてしまうのでもう書けません...というより書きたくない...。
一味違う違うショックを味わいたい方、読みやすくてページ数も少ないのでぜひ読んでみてほしい!(この人の本は読んだ人としか内容や感想を話せないのがつらい...)
好き好き度 ★★★★★
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幻獣の森
(3/20 読了)
トマス・バーネット・スワン 訳:風見潤 ハヤカワ文庫FT
幻獣たちが暮らすクレタ島の森。人が入り込むことのない禁じられた森に瀕死の重傷を負ったクレタの王子アイアコスが迷い込んできた。
そして若きミノタウロス、ユーノストスが恋焦がれる美しい森の精コーラと恋に落ちてしまう。この予期せぬ出会いが悲劇へと変わってゆく...。
これは「ミノタウロスの森」の前日譚として書かれた長編。
個人的にはこちらの作品のほうが気に入ってしまった。
どちらも読んだことがない人はこの「幻獣の森」から読んでも全く問題がない。
というより、むしろこちらの作品だけでもいいかも...。
(どちらにしてもすでに絶版なので入手困難なのが残念ですが...。)
今回、物語を語り進めるのは魅惑の木の精、ゾーイ。前作でももちろん出てきたけれど、こちらのほうが彼女の魅力が存分に堪能でき、なかなか明るめの作りになっています。
内容はテアとイカロスの両親の出会いの経緯や二人が生まれてからのことが中心。
おおまかなことは「ミノタウロスの森」でわかっていたのでインパクトは無かったけどなぜかゾーイの存在感が圧倒的で前作よりもこちらのほうが楽しめました。
好き好き度 ★★★
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ミノタウロスの森
(3/16 読了)
トマス・バーネット・スワン 訳:風見潤 ハヤカワ文庫FT
紀元前1500年。クレタ王国は野蛮なアカイア人の侵攻を受けていた。
クレタの王女テアとその王子イカロスは潜んでいた離宮を離れ森の洞窟へと逃げ込んだ。そこは森の幻獣達が密かに生息する未知なる領域であった。
怯える二人の前に突如現われたのは牛頭人身のミノタウロス...。
だが恐ろしい姿のミノタウロスは実は心気高き穏やかな生き物だった。
テアとイカロス、そして森の幻獣達との愛と戦いの詩的ファンタジー。
去年復刊したスワンの中篇集「薔薇の荘園」に魅了され、思わず古本屋で購入してしまったスワンの処女長編。全編に流れる幻想的な雰囲気はやはり独特で読みがいがあるが終始漂う暗い雰囲気があまりしっくりこなかった。正直途中でちょっと飽きてしまったものの後半の締めはやはり感動的。尚、このお話には前日譚として「幻獣の森」というのが出ているのでそちらのほうもこのあと読んでみる予定。
ちなみに2作品とも竹宮恵子さんのカバーイラストで発行されています。
この物語はギリシャ神話を題材にしてはいるが物語は直接ギリシャ神話とは関係ありません。語り部は心優しき詩人、ミノタウロスのユーノストス。森の精、ミノタウロス、ケンタウロス...伝説の生き物達が生き生きとまた穏やかに暮らしているさまが読むものをこの美しい森へ誘ってくれるでしょう。
好き好き度 ★★☆
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十二の意外な結末
(3/12 読了)
ジェフリー・アーチャ− 訳:永井淳 新潮文庫
「ケインとアベル」「百万ドルを取り返せ!」などの長編でおなじみのジェフリー・アーチャ−の短編集。十二編の多種多様な作品が連なっている。
最後まで読んで思ったのはこの短編集、作品の並び順でかなりポイントが高くなっているという点。この邦題につけられた「意外」の文字は1個1個の作品もさることながら思わず翻弄される小説の並び順にも適用されている。
ようするに一番最初に収められている作品から最後まで順番に読んでね!
そうしたほうが楽しめるから・・・っちゅうことです。
ちょっとおやじっぽいオチも多いけど単純におもしろかった。
短編なんで読み応えがあるとは言えないけれど、気楽に電車の中で読める本って感じでしょうか。
好き好き度 ★★★
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階段の家
(3/8 読了)
バーバラ・ヴァイン 訳:山本俊子 角川文庫
1960年代のロンドン。夫を亡くしたコゼットが購入した「階段の家」には毎夜のように若者が集っていた。ほとんどのものが仕事を持たず、倦怠、ドラッグ、恋愛にあけくれる毎日。遺伝性の難病の発病に怯えるエリザベスもここに通う一人であった。心優しい穏やかなコゼット、お金をせびる愛人、そして、冷淡な眼差しを持つ美しいベル...。やがて残酷な真実と事件が交差し、思わぬ悲劇へと...。
語り部である主人公の手記形式で話は進む。が、妙にイライラする話の進行になかなか読み進まなかった。特に「...と、その時はそう思っていたのだが実は違っていた。」「....といっても、それはみな私が想像したもので、あとからわかったのだが事実は違っていた。」などの文章があまりにも多すぎるような気がする。結局3分の2ほど読んでやっとその事実に触れ始めるのだが、こういう「実は...」みたいなものは、うまく書けば非常に興味をそそり、次を読むのが楽しみになるのだが、あまりにもたくさんありすぎ、しかも最後の最後までこうだと...やはりイライラのほうが強くなってしまった。
かといってストーリーは斬新ではないが悪くはなく、素晴らしい監督によって映画化されたり、萩尾望都さんあたりがコミック化すれば(個人的趣味(笑))とてもいい題材になるだろうなあ、と一人想像してしてニヤニヤしてしまう、興味深い人間模様。
登場する人物(特に女性)の描写がとても理解しやすく、心情、しぐさ共に現実味が感じられる。加えて’60年代の雰囲気と、大好きなロンドンの街の情景がサッと頭に浮かんでくることもうれしくもありました。
ようするに私がノン・フィクションでなく小説に求めるもの、興味(以前「殺人者は21番地に住む」の感想のときも書いたが)というか、性分に、今回ヒットしなかっただけの話なのだ。...あらら、初ヴァインはこんな感想になってしまった(ちなみにバーバラ・ヴァインとはルース・レンデルのもうひとつの名義名)。
そして、次はどのレンデル作品を読もうかな〜と悩む私であった...。(懲りない!)
好き好き度 ★★☆
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魔女の鉄鎚
(3/4 読了)
ジェーン・S・ヒッチコック 訳:浅羽莢子 角川文庫
稀覯本の収集家であった愛すべき父が何者かに惨殺された。
この事件の影にはある日父の元に届いた謎の本、黒魔術を扱った「魔法書」が関係していると思えてならない。娘のビアトリスが必死に真相解明に乗り出すなか、やがて十五世紀に実在した魔女裁判のマニュアル本ともいうべき「マレウス・マレフィカールム<魔女の鉄鎚>」という世にもおぞましい書物に遭遇する...。
魔女裁判、キリスト教、狂信者団体、黒魔法と、かなりダークな題材を軸に物語はテンポ良く展開してゆく。600ページもある分厚い文庫なのだがかなりハイペースで読めた。
要は父を殺した犯人を追い求める娘の話なのだが、この根底にある「魔法書」、カルト教団の謎が重々しくリアル(やっていることは現実では考えられないようなことだがほとんど事実に基づいている!)でゾッとする。
以前からノン・フィクションもので実在する秘密結社、カルト教団のことを読みまくっていたのですんなりとこの嘘のような話に入り込むことができより恐怖感が募った。
ただ残念なことにほんと最後のほうになって話が急ピッチに進みすぎ、いかにもラストに向けてまとめている、というような展開が私の好みから外れてしまった。
宗教裁判の再現、実際に存在する「魔法書」を使ったことなどはかなり驚きだったんだけど、それ以外のことが読みやすかった分、ちょっと浅くサラッと進んでしまうことが多かったかなと。読んでいる間はすごくおもしろくてハマッていたのに、なぜか読後の満足度が今いち...。なんでかな〜?ちょっと残念。
好き好き度 ★★☆
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